夏といえばビールですね、そしてワインも人気です。そうです、どちらも西洋のお酒です。
日本文化の大切さを言うのであれば、日本酒を忘れてはいけません。
味の個性は、蔵ごとにそれぞれで、好みは、飲み比べてみないと分かりませんが、原料や製法による基本的な違いは知っておくべきでしょう。
● 「純米」とは
原料が、米と水と麹と酒母(酵母)だけで作られる酒を、純米酒といいます。それに対して、醸造用アルコールなどを添加した酒を、本醸造や、普通酒などといいます。紛らわしいのは「米100%」などの表示で、これは副原料のトリックであって、純米酒ではありません。
酒母(酵母)の質に関して、「生酛山廃」「山廃」などと表示された仕込みが伝統的な製法で、風味が純粋になると同時に「腰」も入ります。
醸造は、発酵の進み具合で「日本酒度」が高くなります、「甘口・辛口」などとも表現します。
発酵が進んだ辛口の原酒ほどアルコール度が高くなるので、割り水で薄められる比率も高くなり、結果的に淡白になります。
● 「吟醸」とは
続いて原料となる米についてですが、酒用の米を精米して原料にします。
この精米の度合い(歩合)によって、「吟醸」や「大吟醸」というような表示があります。吟醸や大吟醸は、純米である事とは別件なので、必ず「純米吟醸」「純米大吟醸」であることを確認してください(「大吟醸」と表示されているだけでは、醸造用アルコールが添加されています)。
純米であることを確認した上で、精米歩合の順に「純米」「特別純米」「純米吟醸「純米大吟醸」と並びます。
実は、この違い(美味しさ)をどう捉えるかは好みの問題でしかありません。
米を贅沢に精米する大吟醸は、それだけ純粋な味の酒を作る事が可能になりますが、原料を大量に無駄にしてしまうため、コスト的に高くなります。値段が高くて希少ならば、そのほうが美味しいに違いないと、訳も分からず有り難がっていませんか?
吟醸には独特の吟醸香というものがあり、大吟醸ほど癖が強くなります。冷酒にして冷やすほど美味しく、燗にすると美味しくありません。ワインに例えると、大吟醸は白、吟醸はロゼ、特別純米は軽い赤、純米は重い赤に対応します。ワインも白やロゼは冷やして、赤は常温で楽しむように、日本酒も、純米は熱燗、特別純米は人肌、吟醸は常温、大吟醸は冷酒… と、傾向的には当て嵌まります。これは、単なる味の傾向からだけ言っているのではなく、製法にも対応しています。
ワインの原料となる葡萄も、発酵してアルコールに変わる部分は、皮や種を除いた果実(糖を含む)部分です。日本酒になる米も、糖分は実の中心部に集中していて、表面に近い部分にはタンパク質が多くなります。ワインも、葡萄を皮や種ごと醸造するのが赤ワインで、醸造過程で皮や種を取り除くのがロゼ、実だけを使うと白ワインになります。ワインも日本酒も、原料の表面部分は雑味の元ですが、その雑味が、複雑味に変われば、味の強さになります。
そして、ワインに新酒と長期熟成があうように、日本酒にも新酒と「古酒」があります。
新酒は鮮度が決め手ですから、やはりお花見の季節が旬でしょうね。古酒は五年くらいから二十年くらいのものもあって、熟成が進むほどに華が増します。
日本酒の醸造過程で出来る甘酒は、未だ発酵前の課程なので、アルコール度は0%です。お酒が苦手な人でも、お子様でも飲めます。夏バテ予防の栄養飲料としてもおすすめです、冷やしてお飲みください。