ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品「DUNE/デューン 砂の惑星」を観ました。
★ ドゥニ・ヴィルヌーヴ「DUNE/デューン 砂の惑星」2021年
結論から先に言うと、面白いです。
劇場公開しているうちに観ることをお勧めします。
劇場で観ないと、たぶん後悔しますよ、観るなら急いでください!
※ 注意点が二つあります。
一つは、本編上映時間が2時間35分と長いので、トイレにご注意ください。
もう一つは、この作品は、原作の物語の途中までを描いています。
つまり、シリーズのパート1ということです。
完結するまで、少なくとも三部作以上になると監督は言っています。
従って、予めそのつもりで観ていないと、唐突に...つづく、的な終わり方をしてしまって、おいおい?! みたいになってしまいます。
ずいぶん昔ですが、デヴィッド・リンチ監督による「DUNE」を観ました。
内容はよく覚えていないというか、よくわからなかったです(苦笑)
世間的な評価は、大失敗作とされています。
原作小説は、かなり映像化が難しい作品であることは間違いないです。
★ デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』1984年
デヴィッド・リンチ版よりも遥かに前に、ホドロフスキーによる「DUNE」が計画されていたそうです。その計画は実現しませんでしたが、どのような計画だったのかを知ることができるドキュメンタリー映画があります。
DVD化されたものを観ましたが、説明的なドキュメンタリー映画です。
DUNEを楽しむ上で参考になるので、興味があったら観てみてください。
実現していたら、ファンタジーといった感じで、物理的な面よりも精神的な幻覚を見るように表現する作品になったのではないでしょうか?
★ 『ホドロフスキーのDUNE』(Jodorowsky's DUNE)2013年
ヴィルヌーヴの「DUNE」に話を戻します。
とにかく、現代ではCGの技術が発達しているので、宇宙船やら怪物やら何やら、緻密且つスケールの大きな映像と、大迫力の音響と音楽で、異世界に包み込まれます。
劇場で観るべきなのは、そういう観点からもです。
★ Hans Zimmer- Eclipse (Dune)
この作品の見どころの一つが、メカデザインです。
特筆すべきは、ソプター(オーニソプター)という、オニヤンマみたいな形状の羽ばたき飛行機です。
ちょっとネタバレですが、大型と小型の二種類あります。ヘリコプターのようにホバリングもできて、羽ばたきを止めてグライダーのような滑空飛行もできます。
ブレードランナーにおけるスピナーみたいに、DUNEにおけるソプターが、作品を象徴する乗り物になるでしょう。
★オーニソプター
オーニソプター(羽ばたき飛行機)といえば、天空の城ラピュタのフラップターや、映像研には手を出すなの飛行ポッドでもすっかりお馴染みの乗り物ですが、人間が乗れる大きさの乗り物となると、現実世界の航空力学では矛盾だらけの飛び方になります。
★フラップター
★飛行ポッド
DUNEでは、スパイスと呼ばれる特殊な物質により、物理的にも精神的にも超能力が得られる設定になっています。
空中浮遊などが可能になる物質ですから、あの薬物の比喩であることは想像がつきます。
★ Lucy in the Sky with Diamonds
ですから、ソプターの飛行システムにおいても、反重力装置がアシストしていると考えれば、問題無しです。
だったらアシストじゃなくて、反重力装置のみで飛べばいいじゃないか、ということにもなりそうなのですが、それを言い出すと、だったら戦争もテクノロジーだけで戦えばいいとか、むしろ無駄な武力なんか使わなくても、サイコパワーで戦えばいいじゃないかとなってしまいます。
設定上は見えない力が作用しているとしても、目に見える形や動きが主体であってこその映像表現なのです。
ですから、この映画では、戦闘シーンも、未来や宇宙というよりも、まるで古代ギリシャを彷彿とさせるのような、例えばスリーハンドレッドやインモータルズみたいな白兵戦が描かれています。
やはり、そのほうが面白いんですよ。
そして、物語は人間ドラマですから、大事なのは人間による演技表現です。
なんといっても、主演のティモシー・シャラメが醸す独特の魅力がこの作品のイメージを決定付けています。
★ ティモシー・シャラメ
次回作の公開が待ち遠しいですが、ギルドがどんな姿で現れるのか? 未だ現れないのか?
ギルドは、人間と砂虫の幼虫とのハイブリッドという設定なのですが、デヴィッド・リンチ版では、水槽の中の巨大な蘭鋳のような姿で現れました(笑)
ヴィルヌーヴのデザインチーム、どうするのでしょう?
★ 航宙ギルド
【追記】11月12日
ヴィルヌーヴ監督が、最も苦しんだ点は、スターウォーズの既視感から脱却できるかどうかだったと思います。
それはものすごく難しいこだけれど、結果的にはかなり頑張ったとは思います。
監督自身の作品であるメッセージやブレードランナー2049の既視感は良しとしましょう。
でも、やっぱり、サンドワームがサーラックに似ていたところが、どうしてもスターウォーズの既視感から抜け出せませんでしたね。
やっぱり、穴に墜ちたら抜け出せません。
https://twitter.com/i/status/1457996529164115982
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