昼に立ち寄った西武デパートの屋上から街を眺めると、白いサンシャイン60と並んで、黒いビルが建っていました。
そこにTOHOシネマズ池袋があります。
今回初めて行きましたが、とても良い劇場でした。
平日の昼間でしたが、おじさん客がそれなりに来ていました。
結論から先に言うと、絶対に劇場で観てください。必ず!!
記録資料を基に忠実に再現した戦闘シーンの迫力は、これまでに観た全ての戦争映画(SFも含めて)をぶっ飛ばす(無かったものにして塗り替える)大迫力の臨場感です。
ストーリー的には、面白いか、面白くないか、好みが分かれると思いますが、この作品は、細部に至るまで、史実に忠実に、実話(実在の人物、実際のエピソード)だけを物語化しているので、ストーリーに不満があっても、近代史の勉強だと思って観てください(一部に見解の相違を含みますが)。
この映画を観るにあたって、思い出したのが、2011年の日本映画、役所広司主演『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』です。
その映画(山本五十六)は、2012年1月1日に、劇場で観ました。
上映中、ちょうど山本五十六が殺される(米軍戦闘機に襲撃される)シーンで、劇場が激しく揺れました。映像が切れて真っ暗になって、しばらく上映が中断されました。
東日本大震災の大きな余震でした。
映画の内容的には「山本五十六」と「ミッドウェイ」は、ほぼ同じ内容を、別の視点から描いています。
日米開戦の真珠湾攻撃から、ミッドウェイ海戦までが、物語の中心です。
日本映画の「山本五十六」では、山本五十六の死と、その後に、東京大空襲や広島長崎の原爆投下を経て日本が敗戦(終戦)までが付け加えてあります。
アメリカ映画の「ミッドウェイ」では、ミッドウェイ海戦までで話を終わらせています。
また「ミッドウェイ」では、真珠湾攻撃に対する報復として、米軍による最初の日本本土空襲「ドーリットル空襲」という、特攻(片道攻撃)が描かれています。東京を空襲した作戦機が、日本の占領下にある中国に不時着します。
この映画の制作費には、スポンサーとして中国からの資金が多く入っているらしいのです。
アメリカで公開された「ミッドウェイ」では、ドーリットル空襲の米軍爆撃機が着陸したとされる中国の空港を狙って、日本軍が、中国本土に不時着したB25爆撃機の搭乗員を中国民衆が救出したことの報復として、爆撃をして、25万人の中国人を虐殺したとの字幕が登場するそうです。
しかし、日本公開では、その部分のテロップはカットされています。
日本側の見解では、そのような歴史解釈は、中国による捏造されたプロパガンダであり、事実とは大きな齟齬があるとされているからです。
たしかに、25万人を虐殺したという数字は、間違いかも知れません。
だとしても、日本軍による報復が、全く無かったとも証明できません。
この映画では、米国によって石油を止められ、追い詰められた日本軍による真珠湾の奇襲攻撃から始まり、それに対する米軍の報復がドーリットル特攻による日本本土無差別爆撃であり、またそれに対しての報復が日本軍による中国への爆撃となり、それらの「負の連鎖」がこの戦争の本質である、という解釈です。そして、日米の勝敗を決する運命の戦いが、ミッドウェイ海戦です。
戦争には、一方的な正義も悪も、勝者も敗者も無いのです。
いずれにせよ、日本人の立場からすれば、見ていて悔しく、辛い気持ちになります。
たとえば、映画「スターウォーズ」を共和国軍の立場ではなく、帝国軍の立場で観るようなものです。
実際に、太平洋戦争当時は、アメリカは共和国であり、日本は「大日本帝国」ですから。
映像的な演出も、スターウォーズを意識(オマージュ)しているところが感じられます。
物語の牽引役となる主人公的な立場の登場人物が、ディック・ベスト 大尉(エド・スクライン)です。
スターウォーズに喩えるのならば、彼がルーク・スカイウォーカーです。
そういうことになると、山本五十六(豊川悦司)がダースベイダーになってしまいますね(^_^;)
役者たちが皆いいです。戦う男の色気があります。
アメリカ映画なのですが、山口多聞 少将(浅野忠信)が、艦(飛龍)と運命を共にするシーンは、泣きます。
ハンカチが必要です。
ご意見は色々あるでしょうが、音と映像は必見! お見逃しなく。
劇場での鑑賞を、強くお薦めします。
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